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__正午を過ぎた頃。


もうすぐ初夏を迎えようとする太陽の光は、朝来た時よりも更に熱量を増しているけど、木陰に入れば爽やかな風がそれを払拭させてくれる。

加えて、風に運ばれてくる新緑の匂いは更に清々しさを強調してくれて、私は今最高に満たされた気分でビルの近くの広い公園を散歩していた。


あれから、海斗さんはまだやる事が残っているそうで、私は終わるまでの間、せっかくなのでこの衣装のま出掛けることにした。


ここまで自発的に外に出たいと思ったのは一体何年ぶりだろうか。

ずっとインドア派だったけど、容姿が変わるだけで一瞬にしてそれが覆されるなんて、やっぱり海斗さんの力は凄いなと。

改めてそう思うと、私はこれから何をするか考えてみる。


幸いにもこの周辺は見所が沢山ありそうで、お洒落なカフェも沢山あるし、ミュージアムもあるし、ちょっと歩けば小規模なショッピングモールもある。

時間を潰すには十分過ぎるので、とりあえずあまり散財しないよう、カフェは候補から外し、一旦自販機で飲み物を買うことにした。