まさか、これまでの一連は全部海斗さんが仕組んだことだったなんて。

確かによくよく考えてみれば、急遽決まった話だったのに、まるでこうなる事を予想していたかのように全てが揃っていた。


それも全部私のため。

私が変わりたいと願ったから、海斗さんは全力でそれを叶えてくれた。

ちょっと強引なところは否めないけど、それ以上にその有り難みが今になって分かり、つい涙がこぼれ落ちそうになる。

けど、せっかく海斗さんが綺麗に施してくれたメイクを崩したくはないから、それを必死で堪える。


その代わり、気持ちはちゃんと口にしないと。

私は、まだ海斗さんにしっかりと伝えてないから。


そう思い、胸元に手を当てて、彼の方へともう一度視線を向ける。

そして、心からの笑顔を向けて、海斗さんにこの言葉を捧げた。


「海斗さん、背中を押してくれて、本当にありがとうございます」