私達が中へ入った瞬間、スタッフ達の視線が一気にこちらに集中する。

しかし、眼鏡がないから周囲の表情は全く分からずで。それが幸いして、少しだけ気持ちが楽になったような気がした。


「……え?この子本当にさっきの子?別人じゃないのか?」

一体どんな反応が来るのかと待ち構えていたら、最初に聞こえてきたのは、監督の戸惑った声。

「違いますよ。正真正銘、加代ちゃんです」

それを少し不服そうな表情で即座に反論する海斗さん。

「いやあ、流石だな。まさか、ここまで化けるとは思わなかった。というか、この子の素質こんなに良かったのか」

「だから、始めから言ってるじゃないですか」

改めて監督は隣に立つ私をまじまじと見ながら感心していると、今度は更に海斗さんの機嫌が悪くなってしまった。  

褒められたことは凄く嬉しいけど、凄く照れ臭くもあり、私は思わず海斗さんの後ろに隠れる。

「ふふ、本当“あの子”にそっくりね。カイトがこれだけ可愛がるのも無理ないわ」

すると、その様子を終始見守っていた女性のアシスタントさんがぽつりと放った最後の意味深な一言に、私はつい反応してしまう。