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こうして全ての準備を終えた私達は、控室を後にしてスタジオの入り口前まで戻る。

「これから撮影に入るけど、本当に眼鏡なくて大丈夫?」

「大丈夫です。周りの風景が若干ぼやける程度ですから、支障はありません」

それから、扉に手をかけようとした手前。
不安げな表情で尋ねてくる海斗さんに、私は自信を持って大きく頷いてみせる。

「よかった。それじゃあ、行こっか」


そう言って開かれた扉。


徐々に緊張感が襲い始めてくるけど、自分を奮い立たせて、私は胸を張ってスタジオの中へ足を踏み入れた。