「はい、メイク終了。どう?また更に変わったでしょ?」

暫くして全ての工程が終わり、私は改めて鏡を見た瞬間、思わず息を呑んだ。

肌がワントーン明るくなっていて、目立っていたクマはコンシーラーで見事に消えてなくなり、淡いピンク色のチークによってふんわりとした仕上がりに。


瞼は少しラメが入ったオレンジ色のシャドーが施され、ビューラーによって目元はパッチリに。

眉毛も黒色からブラウンピンクに変わり、一気に華やかさが増した。

そして、ほんのり桜色のリップグロスでぷっくりツヤツヤと仕上がった唇。


もはや別人ではないかと思う程の変わり映えに、自分の顔なのに暫く目が離せなかった。

「あとはこれを付けて、そこのヒールに履き替えれば完成だよ」

そう言うと、海斗さんは小さな箱から取り出したラインストーンがキラリと光るシルバーのオープンハートネックレスを私の首元に付けた後。
直ぐ脇に置いてあるクリーム色のヒールを指差した。


これまでスニーカーしか履いてこなかった私は、人生初のヒールに若干の不安を抱きながら、椅子から降りて恐る恐る履き替える。

やはりスニーカーに比べると高さがある分歩きにくく、長時間履くのは厳しいかもしれない。

けど、これだけで大人になったような気分になり、何だか満ち足りた気分になっていく。