「……やっぱり変」
ファスナーを上げワンピースに袖を通した私は、鏡に写る自分の姿を見てため息をつく。
スカート丈は膝辺りで丁度良く、サイズもぴったり。
肩口にはフリルが付いている為、自信のない二の腕は上手いこと隠れた。
見た目も良く、ちりばめられた桜の花びらは全身を綺麗に彩り、スカートの襞がふわっとした形はとても可愛らしい雰囲気を醸し出してくれるけど……。
顔から下は素敵なのに、正面を向けばなんともがっかりする光景。
予想はしていたけど、自分の顔とワンピースが全然合っていない。
瞼は腫れぼったくて目の下のクマが目立ち、手入れをしていない眉毛は生やし放題で、髪もボサボサ。
そして存在感を示す大きな黒縁眼鏡。
せっかく女の子らしいワンピースなのに、着ているのは不細工なオタク顔。
意気込んでみたはいいものの、やはりこの姿を人に見せるのは抵抗がある。
私は深い溜息をはいて項垂れていると、突然扉を叩く音が響き、慌てて顔を上げた。