「た、高峰さん岡田君に告白したんだ……」


あからさまに動揺する私。


そんな私の肩を恵梨香はなだめるように、数回軽く叩いた。


「大丈夫。しっかり高峰は振られたから安心しなさい」



一体何が大丈夫なのか。


というか人の失恋を、そんな天使のような笑顔で話さなくてもいいんじゃないでしょうか……。


しかし、最低だと思いつつも私は高峰さんが振られたという言葉につい胸を撫で下ろしてしまった。


そんな私の様子に恵梨香は小さくため息を吐く。


「まぁ、岡田は女子に全く興味がないって有名だから、誰かと付き合うっていうことはないかもしれないけど……、うち以外に他校でも王子様って騒がれるくらいだからいつまでも安心してられないよ!」


恵梨香の鋭い視線が私の目を突き刺す。


その気迫に圧されつつ、私は項垂れるように視線を自分の足元に落とした。


「うん、そうだけど……。でも陰キャって思われている私があの岡田君に好意を持ってること自体身の程知らず……痛いっ!」


最後まで言い終わる直前、不意討ちの如く私の背中に恵梨香の平手打ちが炸裂し、危うく眼鏡がふっ飛びそうになった。


お願いします恵梨香様。

少し加減して頂けると、とても助かるのですが……。