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「……はい、お疲れ様。今日もバッチリ決まってたよ」


一通り撮影が終了したのか。カメラマンは笑顔で親指を突き立てると、セットは回収され、海斗さんも普段通りの穏やかな表情に戻っていた。

私はあっという間に終了してしまった撮影に肩を落とすも、未だ脳裏に焼き付いて離れない海斗さんの撮影姿に、先程から心臓がなりっぱなしだ。

このままだと私まで“カイト”のファンになってしまいそうで、ひとまず心を落ち着かせる為に何度か深呼吸をする。


「緊急事態です!」

すると、突然一人の若い男性が慌てた様子でスタジオに飛び込んできて、辺りは一気に不穏な空気に包まれた。