それが合図のように、無数のシャッターが切られ、眩い光を浴びながら、気付けば海斗さんの目付きはいつもの優しい眼差しではなく、鋭く威圧的な瞳に変わっていた。


その目は、あの時映っていた雑誌の表紙と全く同じ顔付き。


挑発的で、誘い込まれるような妖しい瞳。

流し目でカメラを追うその姿は、大学生とは思えない程の大人の色気を醸し出していて、ただ見ているだけでも体が熱くなってくる。

つい先程までここは可愛らしい雰囲気で溢れていたのに、海斗さんの存在一つでガラリと世界が変わった。 

そして、周囲の人達も皆海斗さんの一挙一動に感嘆の声をあげ、この場にいる全員の心を鷲掴みにしている。

撮影が開始されてからまだ数分と経っていないのに、これだけで彼のモデルとしての位置付けがよく分かった気がして。

私は瞬きをするのも忘れるくらい、食い入るように海斗さんを見つめながら、彼が作り出した世界に、暫くの間浸り続けていた。