「ねえ、加代ってばあたしの話聞いてる!?」


その時、ぼーっと視線を遠くに向けてる私の視界いっぱいに恵梨香の顔が広がった。


いまいち反応が悪い私に恵梨香の頬が風船みたいに膨れている。


「き、聞いてるよ!3組の高峰さんのことでしょ」


私は我にかえると、なんとなく聞いてた会話を思い出した。


恵梨香の疑いの眼差しがちくちく突き刺さるけど、とりあえず笑って誤魔化してみる。


「ホントかなぁ~、まぁいいや。それでね男子が騒いでるマドンナ高峰、あの岡田佑樹についに告ったらしいよ」


恵梨香は渋りながらも再び興奮気味に話を続けた。


人の色恋沙汰にはあまり興味はなかったけど、気になる人物の名前が飛び込み、思わず私は身を乗り出す。