「海斗さん……まだかなあ……」

綾さんと一旦別れた後、撮影準備があるからと言って控え室へと行ってしまった海斗さん。

この場に一人残された心細さと、募る不安に堪らず、つい独り言が漏れてしまう。


居心地が悪い私は、そわそわしながら周囲を見渡していると、何やら後ろの方でヒソヒソと女性二人の話し声が聞こえてきた。

なんだか嫌な予感がして、思わず声のする方へ神経を集中させる。


「……ねえ、あの子なに?なんで一般人がここに居るの?」

「なんか海斗さんの連れらしいよ。ちょっと信じられないけど」

予想通り会話の内容からして間違いなく自分の事で、しかもあまり歓迎されていない様子にキリキリと胸が傷みだす。