そもそもなんで私が海斗さんの撮影現場に同行しているのか。

全てはあの時の一言から始まった。

変わりたいと強く願った私に、全力で綺麗にすると宣言してくれた海斗さん。

それから直ぐに、早速今度の休みに自分の職場に来て欲しいと頼まれ、詳細を聞かされないまま今に至る。


それから少し歩くと、十階程の高さがある全面ガラス張りのビルの前に到着し、自動ドアを通り抜け中に入ると、そこにはとても閑静なロビーが広がっていた。

壁一面を覆う窓ガラスからは太陽の光が差し込み、真っ白なフロアタイルに反射して中はとても明るい。


そして、入り口付近には二メートル程の大型観葉植物がいくつか飾られていたり、正面には有名な現代画家が描いたものなのか。

数メートル角の巨大なキャンパスにグラデーションがだけが施された、とてもシンプルな絵が立て掛けられていて。
白で統一されたロビーの中で一際存在感を示していた。