雑誌の中で一際輝いていた海斗さん。
写真だけではなくて、現実でも海斗さんはいつも眩しくて。
今の自分ではどう足掻いても手に入れることは出来ない“自信”という光を放ち続けていて、その隣に立つと自分の影が更に際立っていくような気がした。
もし、私もその光に触れることが出来れば。
スタイリストを目指す海斗さんなら、こんな私でも何かを引き出してくれるのだろうか。
「加代ちゃん?」
暫く黙ったまま海斗さんを凝視していると、その視線に気付き、目が合った瞬間。
それが引き金となり何かが壊れる音がした。
「……海斗さん。私、変わりたいです」
そこから長年封じ込め続けていた願望が涙と共にぽろぽろと地面に零れ落ちる。
「綺麗になりたいです。……もっと自信を持ちたいです」
それはとどまることを知らず。
一度蓋を開けてしまった想いは一気に溢れ出してきて、もうどうすることも出来ない。
すると、不意に視界が暗くなった直後。
海斗さんの腕が背中に回り、そのまま引き寄せるよう私の体を優しく包み込んできた。