「あんた、今朝佑樹のことずっと見てたでしょ」

すると、思いもよらない一言に、私は驚きのあまり目を大きく見開いた。


まさか、あれは気のせいではなかったなんて。

あの距離で気付いたということは、もしかしたら前々から私がそこにいた事を知っていたのだろうか……。


「な、なんのことですか?」

とりあえず、なんとか誤魔化そうと試みたものの。
嘘が下手なので挙動不審になってしまい、益々険しくなってくる紺野さんの表情に、冷や汗が止まらない。

「とぼけないでよ。それに、他でもあんたの視線は嫌って程感じるんだけど。本人は全然気付いてないけど、所々目に付くのマジでうざい」

それから、度重なる衝撃的事実に今度は空いた口が塞がらなかった。

「とにかく、これ以上しつこく彼を見るの止めてくれない?大体あんたみたいなブスに佑樹が振り向くわけないでしょ」

すると、悪意がたっぷり込められた痛烈な言葉に、体の動きが止まる。

「はっきり言ってキモいだけだから。良い加減諦めれば?」

そして、硬直する私にはお構いなしと。
紺野さんは捨て台詞を吐いて、さっさと店内へと消えていったのだった。