「ふ~ん、なるほどね」

恵梨香はサンドイッチを頬張りながら、女子生徒が噂していたことや、体育館で見た光景を頷きながら聞いていた。

「恵梨香はその紺野さんと岡田君の関係って何か知ってる?」

私よりも遥かに情報通の恵梨香には、もしかしたら何かしらの話が耳に入っているかもしれないと密かに期待しながら、恐る恐る訊ねる。

「う~ん、私も加代が聞いた噂程度しか分からないなあ。クラスは岡田と一緒らしいけど」

「っえ!?そうなの」

そして、嫌な予感が的中し、私は一気に血の気がひいた。

「別にそれがどうしたのよ。そんなのあくまで只の噂でしょ。加代が体育館で見たのも単に部員とマネージャーのやり取りよ」

落ち着かない私とは裏腹に、至極冷静に諭してくる恵梨香の言葉に、肩の力が少しだけ抜けてきた。

確かに言われてみればそうなのかもしれないし、そもそもとして、変に気にしなければ、あの二人のやり取りも至って普通のことなのかもしれない。