「お待たせ恵梨香、遅くなってごめんね」
急いで紺色のブレザーから田舎風ジャージに着替えた私は、外で腕組みしながら壁に寄りかかる友人の元へ駆け寄った。
白石 恵梨香。
隣のクラスにいる学校一の美少女。
肩までかかった色素の薄い艶やかなサラサラの髪、私よりも一回りは違う小顔に透き通った白いスベスベの肌。
目はビー玉みたいにパッチリ二重で、睫毛はお人形のように長い。
鼻立ちは高く、ぷっくら膨れる下唇がなんとも魅力的。
その上細身の体に、モデル顔負けのスラッとした長い足と完璧なスタイル。
それだからなのか。
救いようのないダサすぎるジャージも、恵梨香が着れば、個性溢れるファッションに見えてしまう
加えて性格もサバサバしていて、頼り甲斐があって優しくて、私以外と過ごす時はいつも人に囲まれている。
そんな人気者が何故クラスの外れ者と一緒にいるのかと。
それがこの学校一の最大の謎だと騒がれていることは、私の耳にも届いていた。