いつもより三十分以上も早い登校。



この時間帯だとまだ私以外に登校している人はほとんどなく、校内には部活の朝練をしている人達の掛け声くらいしか聞こえない。


私は静まりかえった校舎の雰囲気が割りと好きで、そんな中、早朝から開いている図書室でゆっくりと本を読むことが至福の時だった。


……と言っても普段はいつもギリギリの登校なので、普段は朝から読書なんて滅多にしない。


私は鞄を持ったまま教室には寄らず、図書室へ直行しようと渡り廊下を抜けて、体育館脇を通り過ぎようとした時だ。


中からボールの弾む音が聞こえる。

その音に思わず足の動きが止まり、私は後ろを振り返った。

まさかと思い、高鳴る鼓動を抑えながら、若干扉が開いている隙間から中の様子を覗く。

そして、その予感は見事的中し、これまで小刻みに脈打っていた鼓動が更に加速し始める。