私は無意味に鼻をならしながら、パタンとロッカーの扉を閉める。

すると、突然背後から誰かに背中を叩かれ、思わず間抜けな声が出てしまった。


恐る恐る視線を向けると、そこには華がほころぶような笑顔をこちらに向ける美少女が立っていた。


「加代まだ支度終わってないの?次は合同体育だから一緒に行こう」


そう言うと、美少女は催促しながらぐいぐいと私の腕を引っ張り、私は抵抗する間もなく美少女に引きずられながら更衣室へと連行される。


そして、教室を出る間際、そんなやり取りをする私達を目で追うクラスの男子の顔が、何ともマヌケ面だったことを私は見逃さなかった。