1 君との出会い

「七音、いつまで寝てるの!」

アラームと一緒に聞こえたお母さんの声で目が覚める。

窓の向こうの方では逃げやかな小鳥の声も聞こえる。

だいぶ寝込んでしまっていたらしい。慌ててスマホを見ると午前8時と表示されていた。

やばい....わたしは少し憂鬱感を感じながら、急いで支度をして学校へ向かう。

「おはよー!今日は遅かったね」

教室に着くと友達の沙織が声をかけてきた。

わたしもおはよーと今日一番の笑顔で返す。

まだ一日が始まったばかりだけど....。

席に着くと後ろの席の由希も声をかけてきた。

わたしはいつも沙織と由希と一緒にいる。

鞄の中から必要なものを取り出していると沙織が

「うちらさ、この高校もう半年じゃん?好きな人とかいるの?」

突然の質問にわたしたちは驚きながらも由希が答えた。

「好きな人かはまだ分かんないけど、気になってる人ならいるよー沙織は?」

「うちさ、実は好きな人いるんだよね」

二人とももう恋愛しているのか...と心の中でささやいていると、七音は?と二人息ぴったりで聞いてきた。

わたしは今までそういう人...好きな人ができたことがない。

少しうつむきなが「私はいないよ」と答える。