紅茶を飲みながら、アメリアは安心したように言う。

「ウィルに嫁いできたのが、アリス様でよかったわ」
「……そう思っていただけて、光栄です」

 アリスは曖昧に微笑み返す。

 ウィルフリッドとアリスは本当の意味で夫婦ではないことも、愛と子供は望むなと言われたことも、アメリアは知らない。

 アリスは胸の辺りで、手をぎゅっと握る。
 なんだか親切にしてくれるこの人を騙しているようで、心が痛かった。





 ウィルフリッドとドレスを買いに行こうと約束をした日、アリスは彼と一緒にアメリアに勧められた仕立て屋のひとつへ向かった。
 色とりどりの生地や見本のドレスの数々に、アリスは圧倒される。

「冬場はとても冷えるので、長袖、詰襟のドレスが主流となっております」
「素敵ね」

 アリスは仕立て屋の説明を受けながら、うっとりと見本を眺める。