朝食の席で、アリスは早速ウィルフリッドに服を新調したいとお願いすることにした。

「あの、陛下……」
「なんだ?」

 おずおずと話しかけると、ウィルフリッドは顔を上げて青い瞳でアリスを見つめる。

「実は、服を買いたいのですがよろしいでしょうか。エマに、わたくしの持っている服ではシスティス国の越冬は厳しいと」
「服はアーヴィ国から持ってきたものか?」
「はい」
「では、そうだろうな」

 ウィルフリッドは納得したように頷くと、一旦口を閉じる。そして、逡巡するような表情を見せた。

「来週、少しだけ時間がある。一緒に見に行くか?」
「え?」

 まさかウィルフリッドから一緒に行こうかと提案されるとは思っていなかった。てっきり護衛を連れて勝手に買いに行けと言われると思っていたアリスは、予想外の提案に驚いてまじまじとウィルフリッドを見返す。すると、ウィルフリッドは気まずそうに目を逸らし、「やっぱりいい。好きな品を買ってこい」と言った。

「いいえ! 陛下と一緒に行きたいです! 連れて行ってくださいませ!」

 アリスはハッとして、慌ててウィルフリッドにお願いをする。