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 アリスと一緒に出掛けた日の夜、ウィルフリッドは夕食の場に彼女がいることに驚いた。今日はアリスと出かけた影響で、執務が遅くまでかかった。とっくのとうにアリスは食事を終えていると思ったのだ。

「陛下。今日もお仕事お疲れ様でございます」

 ウィルフリッドがやって来たことに気づいたアリスは、立ち上がると満面に笑みを浮かべて彼に挨拶をする。

「ああ。……先に食べなかったのだな」

 ウィルフリッドは困惑した表情で言う。なぜアリスが自分を待っていたのかわからなかったのだ。

「食事をしながら、陛下とお話でもしようと思いまして」
「俺と話?」
「はい。昼間にもお伝えした通り、陛下のことをもっと知りたいのです」
「……なぜ?」
「夫のことを、もっと知りたいからです。だめでしょうか?」

 アリスはおずおずと、ウィルフリッドの顔色を窺うように聞いてくる。

「だめではないが」
「よかった」

 アリスはホッとしたように表情をやわらげる。