ドアの向こうに立っていたのはウィルフリッドだった。アリスを迎えに来てくれたようだ。

「はい、できております。陛下にお迎えのご足労をおかけしてしまい、申し訳ございません」

 アリスはウィルフリッドのほうに駆け寄る。ウィルフリッドはアリスを見ると、少し驚いたような顔をした。

「あの、何かおかしいでしょうか?」

 ウィルフリッドの反応に、アリスは不安になる。

「いや……似合っている。では、行こうか」
「はい」

 ではなぜ驚いた顔をしたのだろうと不思議に思ったが、ウィルフリッドはそれ以上言う気がなさそうだ。

 ふたりは並んで廊下を歩き出した。

「今日は晴れてよかったですね」

 王宮の開放廊下から見えた空を見上げ、アリスはウィルフリッドに話しかける。
 システィス国は今、短い夏が終わりを告げて秋を迎えようとしている。この季節は曇りがちで雨の日も多いのだが、今日は珍しく爽やかな晴れで雲もほとんどない。

「ああ、そうだな」

 ウィルフリッドは頷いた。