(うーん。違いすぎて笑っちゃう)

 ハーレムでの暮らしは気ままで悪くないが、果たしてこれは結婚生活と言えるのだろうか。夫と年に一度も会わないなんて。

(もし別の人に嫁いでいたら、全く違う結婚生活を送っていたのかしら?)

 思わずそんなことを思ってしまう。

「十五時ってことは、そろそろだわ。行きましょう」

 時計を確認したケイトに促され、アリスは「ええ、そうね」と立ち上がる。大広間に向かうと、既に多くの妃達が集まっていた。

 そこに現れたのは、大臣を伴った若い男性だった。

「皆、よく集まってくれた。今日は大事な話がある」
「あれって、エルゴ殿下? クリス殿下はどうしたのかしら?」

 隣に立つケイトがこそっとアリスに耳打ちをする。
 エルゴはクリスの腹違いの弟で、ここビクリス国の第二王子だ。母親譲りの金髪碧眼で、なかなかの美青年だ。