「それで、相談とはなんだ?」
「本日は護衛の騎士の手配をありがとうございました」

 アリスはまず、ウィルフリッドが護衛の騎士を約束通り手配したことに対してお礼を言う。

「町に行ったところ、市民から冬場に水路が凍り付いてとても不便しているという話を聞きました」
「ああ、そうだな。毎年のことだ」

 ウィルフリッドは頷く。だから、ウィルフリッドは真冬に町を視察する際はついでに自分の異能を用いて水路の氷を解かすようにしている。それでも、すぐにまた凍ってしまうので焼け石に水だが。

「システィス国と同様に寒さが厳しいローラン国では、水路を地下に作って冬場も凍らないようにする技術があるそうです。我が国にその技術が使えるかどうかはわかりませんが、検討する価値はあるのではないかと」
「地下に水路?」

 その発想はなかった。確かに冬場の地温は地上より高く、滅多なことでは氷点下まで下がらないはずだ。もしも冬場も水路が使えるようになれば、市民生活の利便性は格段に上がるだろう。