(あら? この状況って……)

 アリスはそこでふと気が付いてしまった。

(待って! これって、わたくしが元々目指していた人生プランそのものじゃない?)

 アリスはウィルフリッドからの縁談が来なければ、一生独身で外交官として身を立てようと思っていた。王女と王妃、それに国の違いはあれども、自分の知識を生かして国のために尽くすという点では共通している。

(うん、悪くない提案だわ)

 なんと言っても、ウィルフリッドは愛と子供さえ望まなければその他は可能な限り希望を叶えるように善処すると言ってくれた。これ以上にない好条件と言ってもいい。

「承知いたしました」

 アリスはその場に座ったまま、一礼する。

「わたくし──アリスは最高のビジネスパートナーとして、必ずや陛下の期待に応えてみせましょう!」

 アリスは胸に手を当て、声高々に宣言したのだった。