アメリアに手を握られたまま挨拶をされ、アリスは彼女に微笑み返す。

「本当に可愛らしいわ。こんな素敵な方がウィルに嫁いで来てくれて、わたくし感激してしまって」
「姉上。アリスが困っているだろう」
「まあ! わたくしったら嬉しすぎてつい」

 アメリアはハッとしたように握っていたアリスの手を離すと、照れを隠すように笑う。その様子に、アリスはほっこりとした。

「わたくしも、アメリア様のようなお姉様ができて嬉しいです」
「本当? じゃあ、今度お茶をしましょうね。すぐにご連絡します」
「ええ、是非」

 勢いよく話すアメリアに対し、再びウィルフリッドが「姉上。次の人が待っている」と窘める。

「わかっているわ。少しお待ちなさい。うるさくって嫌ね。アリス様、こんな弟ですけれど、愛想をつかさずに何卒よろしくお願いします」
「愛想をつかすなんて、とんでもない」

 アリスは苦笑いする。ウィルフリッドはさっさと行けとばかりに、しっしと手を振った。
 アメリアは去り際もアリスに小さく手を振る。

「ようやく行ったか」

 アメリアの後姿を見送りふうっとため息を吐くウィルフリッドの様子に、アリスはくすくすと笑う。

「ふふっ。とても仲がよろしいのですね」
「これは仲がよいというのか?」

 ウィルフリッドは半ばうんざりしたような様子だが、アリスから見ればアメリアがウィルフリッドをとても大事に思っていることがよく分かった。

(お姉さまがいい人そうでよかった)