挙式のあとは来賓たちを招いた披露宴が行われた。王宮内にある大ホールにたくさんの食事が並べられ、高級酒が振る舞われる。

「アリス様!」

 高砂にいるアリスとウィルフリッドに駆け寄ってきたのは、満面の笑みを浮かべた美しい女性だった。

「まあまあ! こんなに可愛らしい方が我が国に嫁いできてくださるなんて……」

 女性はアリスの両手を握ると、感激したように見つめてくる。

 腰まであるシルバーブロンドの髪の毛に、青空のような瞳。女神かと見まごうような完璧な美貌。既視感のあるその人を見て、アリスは(もしかして)と思う。

「姉上。アリスが驚いている。名前くらい名乗ったらどうだ?」

 隣に座るウィルフリッドが呆れたように言う。

(やっぱり!)

 性別こそ違えど、目の前の女性はウィルフリッドとよく似ている。

「あら、失礼しました。わたくしはアメリア・バレー。ウィルフリッドの姉で、今はバレー公爵夫人よ。これから末永くよろしくお願いします」

 その女性──アメリアはにこりと微笑む。

「アーヴィ国より参りました、アリスです。こちらこそよろしくお願いします」