唯一の心残りは、せっかく外交官になろうと思い立って勉強を始めたのに、それが叶わなくなってしまうことだ。
 とはいえ、絶対に外交官になりたかったわけではなく、自分が役に立てそうな分野を探していたら外交官が目に付いたというだけのこと。これを理由に断るほどのものでもない。 

 それに、アリスは外交官になるよりもシスティス国の国王に嫁いだほうが、直接的にアーヴィ国に恩恵をもたらすことができるだろう。

「このお話、是非進めてくださいませ」

 アリスはそう言うと、にっこりと微笑んだ。