ヴィクターはくくっと笑う。

「叔父上、ご移動ください。これより裁判で、判決が下ります」
「父と兄に続いて叔父まで殺すのか。さすがは冷酷王だ」
「……私は父上と兄上を殺してはいません。叔父上の屋敷の使用人達が全て証言してくれました」

 ウィルフリッドはそこで一息置き、ヴィクターを見つめる。

「なぜこんなことをしたのです。たかだか、王座のために」

 その瞬間、落ち着いた様子だったヴィクターが興奮したように立ち上がる。

「たかだか? たかだかだと! お前に何がわかる! 何もせずに王座が転がり込んできたお前に!」

 ヴィクターは激しく怒鳴り、肩を揺らす。怒りで顔は真っ赤になっていた。
 ウィルフリッドの周囲を固めていた衛兵が、すぐさまヴィクターに剣を向け威嚇する。