アリスは目を輝かせる。

「気に入った?」
「はい。とても」

 アリスは笑みを零す。

 こんな景色、アーヴィ国にいたら一生見ることもなかっただろう。
 しばらく進み、ウィルフリッドはそりを停めた。彼に続いていた護衛の近衛騎士達も周囲に集まる。

「ウィルフリッド様。雪だるまを作っても?」

 そりを降りたアリスはウィルフリッドに問いかける。雪に触れると、王都のそれよりも随分とさらさらしていた。アリスは両手で雪を丸めたものを二つ作り、上下に重ねる。

「できました!」

 アリスは胸を張り、得意げにウィルフリッドに告げる。彼は雪だるまとアリスを見比べ、くくっと笑った。
 何を思ったのかは、敢えて聞かないことにする。