(偶然だが、症状が同じだな)

 いや、偶然ではないのかもしれない。異能のこともあり、ウィルフリッドの中で芽生えていた疑惑が確信へと変わりつつあった。

「もしや、叔父上が……」
「え? どうしました?」

 アリスはウィルフリッドの呟きが聞き取れなかったようで、きょとんとした顔で彼を見つめる。

「アリス。協力してほしいことがある」

 樹氷を見に行くという話にイリスが食いついたのは、そこでアリスとウィルフリッドを纏めて処分するためではないだろうか。
 そうだとすれば、逆にその機会を利用するチャンスでもある。

 ウィルフリッドはアリスに、自分の考えを話した。

 ◇ ◇ ◇

「うーん。さすがに着込みすぎかしら?」

 アリスは鏡に映る自分を眺めながら呟く。

 今日から一泊二日で、アリスはウィルフリッドと樹氷を見に行く旅行に出かける予定だ。
 皆から寒い寒いと脅されたので持っている中で最も暖かいドレスを着て、その上にカーディガンを二枚羽織り、さらに分厚い靴下を三枚重ねで履き、ショールを羽織った上にさらに毛皮のコートを着込んだ。頭をすっぽりと包むのは毛皮の帽子だ。

 アリスはもともと小柄なのだが、これだけ着込むとさすがに体がパンパンに膨らむ。その姿はまるで、雪だるまのようだ。