「そうだったな。無粋なことを聞いた」

 優しくキスをすると、アリスはそれに必死に応えようとする。その仕草の全てが、ウィルフリッドからすると愛おしい。

「へ、陛下」
「ウィルフリッド」
「え?」
「ウィルフリッドだ。アリスには、名前で呼んでほしい」
「ウィルフリッド様?」

 アリスはおずおずとウィルフリッドの名を呼ぶ。自分の名前を呼ばれただけでこんなにも心が満たされたのは、初めてだった。

「アリス。愛してる」

 ずっと言いたくても言えなかった言葉を告げる。ウィルフリッドの腕の中で、アリスは幸せそうに微笑んだ。