アリスは目を閉じる。いつの間にか、心地よい夢の世界に誘われる。
 それは、ウィルフリッドにお姫様抱っこで抱き上げられる幸せな夢だった。

「陛下?」

 アリスはウィルフリッドを呼ぶ。薄らと目を開けると、彼の美麗な顔がすぐ近くに見えた。
 アリスはへらっと笑うと、彼の首に両腕を回す。

「陛下、大好きです。お慕いしています」

 素直な気持ちを告げると、ウィルフリッドの腕がビクッと揺れた気がした。青い瞳と目が合うと、彼の瞳は切なげに揺れる。ベッドに下ろされると、美麗な顔が近づく。

「俺も、好きだ」

 呟くようなウィルフリッドの言葉が聞こえ、触れるだけのキスをされる。

(ああ、なんて都合のいい夢かしら)

 ウィルフリッドがアリスのこと好きだと言って、キスしてくれるなんて。
 こんな幸せな夢なら、一生目覚めないでほしい。