「アリス妃はまだ病み上がりでお疲れなのでしょう。もう少しゆっくりされてください。回復された暁には妻に茶会にでも誘うよう、伝えておきましょう」
「そう……ですね。お心遣い感謝いたします」

 アリスは力なく答える。
 ただ、なんとも言えない悲しみと、虚しさだけが残った。



 部屋に戻ると、エマが寝室のシーツを交換してくれていた。エマはアリスが戻ってきたことに気づくと「お帰りなさいませ」と笑顔を見せる。

「全て干したてのシーツに替えておきましたので、今夜も気持ちよくお休みになれると思いますよ」
「そうね。ありがとう」

 にこっと笑って答えるアリスの顔を見て、エマは首を傾げる。

「アリス様、何かありましたか?」
「ううん。なんでもないわ」

 アリスは慌てて取り繕う。ただでさえここ数日の体調不良で心配をかけているのに、これ以上の心配をかけたくなかったのだ。

「そうですか」

 エマはホッとしたように笑う。