「ようこそいらっしゃいました、アリス様。今日も可愛らしいわ」

 アメリアはアリスを見るや否や、笑顔で駆け寄ってくる。

「アメリア様。本日はお招き頂きありがとうございます」
「わたくしがアリス様とお会いしたかったのよ。さあ、入って」

 アメリアはアリスの手を引き、屋敷の奥へと案内する。
 屋敷のメイド達もアリスを見て皆立ち止まり、微笑みを浮かべてお辞儀をする。たったそれだけのことだが、屋敷全体でアリスの来訪を歓迎してくれているのがわかった。

「最近はウィルが毎日アリス様の元に通っているらしいじゃない? ラブラブね」

 アメリアははしゃいだように言う。ウィルフリッドとアリスが一緒に寝ているという情報は、間違いなくエマから聞いたのだろう。

「実はアメリア様にご相談がございまして……」

 アリスはおずおずと切り出す。

「相談? わたくしでよければいくらでも聞くわ」

 アメリアは胸に手を当てて任せろとばかりに言う。

「実は、陛下がわたくしに女性としての魅力を感じていらっしゃらないようです。その……一緒に寝ているのに触れてすらくださいません」
「は?」

 アメリアは呆気にとられた顔でアリスを見返す。

(やっぱり、あり得ないことなのね)