アリスは朝日の眩しさに、目を覚ます。
 寝返りを打ってうっすらと目を開けると、きっちりと服を着たウィルフリッドが見えた。

(陛下?)

 ねぼけまなこでうとうとしていると、ふと髪の毛を触られる感触がして、額に柔らかいものが押し当てられた。
 そのまま目をつぶって寝たふりをしていると、カツカツと足音が遠ざかりばたんとドアが閉まる音がする。
 部屋の中が静かになったのを確認してから、アリスはパチッと目を開けた。

(今、陛下が──)

 アリスは自分で自分の額に触れる。

(キスした?)

 目を瞑っていたから、確信はない。けれど、額に確かにやわらかで温かいものが押し当てられた。
 アリスの頬はたちまち真っ赤になる。

(陛下、どうしてあんなことを)

 きゃーっとなって布団で羞恥に震えていると、パタンとドアが開く音がした。

「アリス様、おはようございます」
「お、おはよう。エマ」