その日の夕食時、アリスに「大事な話がありますのでリビングルームに来てください」と言われた。いつにない真剣な様子に、ウィルフリッドは困惑した。
 思い当たることと言えば、今日アリスの膝で寝てしまったことだ。

(文句を言われるだろうか)

 そう思って緊張の面持ちでリビングに向かうと、なぜかアリスも緊張したような表情をしている。

(どうしたんだ?)

 アリスは先ほどから、何かを話そうと口を開きかけては閉じるという行動を繰り返していた。

「アリス、一体どうし──」
「陛下! 今日からわたくしと一緒に寝てください!」

 意を決したようにアリスが言った言葉を聞き、ウィルフレッドは呆気にとられた。

「は? 一緒に?」
「その……お布団が寒いです」
「布団をもう一枚出すように伝えておこう」
「いえ! そうじゃなくって!」

 アリスは慌てたようにウィルフリッドの服の裾を掴む。

「隣にどなたかが寝てくださらないと、よく眠れません!」