夜が明けていく。

開け放したままのカーテン。
窓の向こうは少し白い。

ぼやけたままの空が、
何処かで途切れる世界の終わりを見たいと思った。

「とばり」

「はい」

「逃げよ。二人で遠くへ」

「はい」

「こんな小さな部屋の世界なんかじゃなくてさ。きみに似合うきれいな世界をいっぱい見せてあげる。飽きるくらいに愛し合って、それから二人で死のう」

「いいですね」

「約束だよ」

「最後は、」

「うん?」

「蜜先輩が私の本当の神様になってくれるの?」

「なれるかな。とばりだけの神様に」

「はい。絶対に」

「どうやって」

「蜜先輩」

「うん」

「最期は私を殺してね。あなたのその手でちゃんと」

冷たい体温。

初めて交わす、夜乃とばりとのキス。

やっぱり俺はきみの隣でしか正しくなれないみたいだ。

世界中が敵になったとしても。

きみだけがこの世界の正しさだ。


甘い夜更け。朝を憎んだ。 完.