「も…ゃ…」

「正義と執着を混同しちゃダメだよ」

「どういう意味…」

「記者とか夜乃とか佐藤とかさぁ。そいつらと一緒に俺が悪いことしてるって、渇きを満たそうとしてるって?自分だけが気づいてるってヒーローになった気分になって。正義感振りかざしたってさ、一番渇いちゃってんのはどっちなの」

「渇いてる?私が?」

「俺が誰とでもしちゃう男だって分かってんでしょ」

「もちろん…」

「でも自分だけが選ばれなかった。来栖は、少なからず周りの同級生よりは自分に自信があったはずだよ」

「そんなことない!」

「どうかな。バーベキューを主催した時も、俺に参加を促した時も、やたらと″自分の手柄なんだ″って誇示してたよね」

「それは…みんなが期待してたから…」

「自分なら俺を誘える、それだけの魅力があるんだって言いたげに見えたよ。でも実際は″誰とでもしちゃう俺″に自分だけが選ばれなかった。そのプライドは確実にズタズタにされた。来栖は満たされなかった。だからどうしても俺に認められたかった。自分の、今が一番美しい、その欲情をね」