そっと頭を撫でる。
佐藤はこうされるのが好きだ。
とろん、とした目で甘えてくる。

「俺の部屋に行く?」

「どこでもいいです。蜜さえ居てくれるならどこだって」

「地獄でも?」

「もちろん」

ソファに押し倒すようにして佐藤に覆い被さる。
期待、なのか目の端に涙が滲んでいる。

「シャワー浴びる?風邪引いちゃうかもな」

「いや。離れないで」

佐藤が腕を伸ばして自分の体に俺を密着させる。
濡れた佐藤の服からひんやりとした温度が伝わってくる。

「わがまま」

「風邪引いちゃうなら蜜も一緒がいい」

「凄いね、独占欲。アマイ、」

「はい」

「最高にいい子だったよ」

「ふふ。完璧でしたか」

「うん。やっぱりアマイは″いい人間″だね」

記者の死。
それは仕組まれたものだった。

直接的に手を下したわけじゃない。
そうなればいいな、という願いだけで、そうなるように仕向けた。

俺と佐藤の策略によって、記者は死んだ。

ちゃんと。