校長室での「面談」のすぐ後にはすでにSNS上では佐藤の事件が話題になっていた。

世の中がSNS社会過ぎる。
学園内であんなことが起きているのに、エンタメに飢えた思春期真っ只中の十代が黙っていられるわけがなかった。

二年四組に張り出されたスクープ記事は、俺が開いた全校集会も虚しく、一人の生徒によってSNSに投稿されて以降、世間にあっという間に火の粉が降り注いで、大火事となった。

佐藤の全ての顔写真にはモザイク加工が施されていたけれど、記者の顔写真への配慮はゼロだった。

スクープ記事の投稿は瞬く間に拡散されて燃えに燃えた。

変態記者、ストーカー、ロリコン…当てはまるだけの罵詈雑言と人権批判で溢れ返った。

校門前で散々な張り込みをして、多くの生徒に声をかけていたことも仇になった。
自分も話しかけられた、金銭と引き換えに他人の個人情報を聞き出してくるなどの被害報告も増えていく中で、
ついには住所、本名、家族構成まで特定されてしまった。

奥さんが命に替えてでも守りたかった娘のプライバシーは、
当事者達がどれだけ足掻こうと、ネットによってあっさりと破滅させられた。