「先生方。あなた達はずいぶんと朝之を過大評価してるみたいですがね。よーく考えてみてくださいよ。夜乃とばりの件。アレだって生徒会とは無関係なわけじゃない。おまけに朝之の風評をご存知ないんですか?学園内だけでもどれだけの女性をたぶらかして操っているか。洗脳者は夜乃とばりなんかじゃない。彼のほうがよっぽど恐ろしい人間ですよ。佐藤だってまんまと蜘蛛の糸に絡め取られたんでしょう。都合よく操る為に。起こってしまった事象、事象をちまちまと片付けても無意味ですよ。根源を断ち切らない限りね」

校長の後ろに立ったまま俺を見下ろすその目に鋭利な切先を突き立てたい。
モヤモヤとした黒い感情が湧き上がるけれど、それを掻き消すのなんか簡単だった。

俺自身が、この男を見下しているからだ。

こいつには何も無い。
きっと俺以上に、何も。

学園に君臨しているのは俺だ。
ちゃんと自分で自覚してしまうくらいには、しっかりとした事実で。
俺を批判することで、断罪することで、引きずりおろすことで尊厳が守られると信じているのだろう。

勝ち誇った表情の顧問よりももっと、はっきりと口角を上げて、
嘲笑するように顧問を見たら、今度は奥歯を噛み砕くような表情になって、本気で笑い出しそうになってしまう。