校長、顧問、クラス担任が一斉に俺を見た。
口の端をわずかに吊り上げて、どこか勝ち誇ったような顧問の表情には少しイラついた。

「校長先生!完全に不審者ですよ!女子生徒に…駅前であろうと繁華街で声をかけて、更に他の生徒のことを聞き出そうとするなんて。加えて朝之くんは生徒会長ですよ。おかしいですよ、絶対に…!」

「先生のおっしゃる通りです。佐藤さん、なぜ朝之くんのことできみに声をかけてきたのか、分かるかな?」

佐藤は少しだけ言い淀んで俺をチラっと見た。
ゆっくりとまばたきをした俺に応えるように、佐藤もゆっくりと、同じ速度でまばたきをして、校長に向き直った。

「私が生徒会役員ってこともあると思うんですけど…あ、それは、もうこの人がそこまでは調べ上げてるんだろうなって断定して、ですけど。それに、朝之先輩と、その…他の人達よりは親しいからだと思います。私の後をつけていたのはこの日が初めてじゃないみたいでした。朝之先輩のことを探ろうとして必死な感じが滲み出てたし、外堀を埋めようとして近しい人のことを嗅ぎ回ってる感じがしました。だから私が先輩に仲良くしてもらってることもなんとなく知ってたからターゲットにされたんじゃないでしょうか」

「ハッ…さすが。女たらしだな」

顧問が吐き捨てるように言った。
クラス担任が「口を慎んでください!」とあからさまに嫌な顔をした。