「佐藤さん…これは…」

佐藤のクラス担任が佐藤の隣に立って、そっと肩に触れた。
俯いたままの佐藤は小さい声で「ごめんなさい…」とだけ呟いた。

「援助交際を認める、ということか?」

生徒会顧問が低く冷たい声で言ってのける。

「先生…!」

クラス担任が悲痛な声を上げて、顧問をキッと睨みつけた。

「佐藤さん。それだけじゃ分かってあげられないんだ。私達はね、きみを守りたいと思ってるんだよ。怖がらないで。事情を話してくれないか」

ゆっくりと顔を上げる佐藤。

膝の上でギュッと固く結んでいた両の手のひらに触れた。
俺のほうを見た佐藤に小さく頷き返した。

安心したように、佐藤は少しだけ口角を上げた。
顧問が小さく舌打ちをした。