カタン、と小さい物音が聞こえた。

俺や佐藤が立てた音じゃない。

二つ隣の部屋から聞こえてきたものだってすぐに分かった。
その小さい物音に佐藤も気づいていた。

俺の下で好き勝手されて、所在なくソファのアームをギュッと掴んでいた手を、俺の腕に移動させた。

「なんの音ですか」

「窓を開けっぱなしだった」

「窓?」

「部屋の換気だよ。使ってない部屋のね。日中うちに居るのはほとんど俺だけだからさ。時々そうしてるんだ。何か倒れちゃったかな」

「見てきますか?」

「いい」

「でも、割れたりしてたら…」

「いーから。アマイ、また悪い子だよ?」

「え…」

「俺にだけ集中しなきゃだめでしょ?」

「は…ぃ…ごめんなさい」

従順な俺だけの女の子。

甘い声で強請る(ねだ)小さい体に赦されるなら俺の物だって烙印を刻んであげるのに。