『───オラ!』
「「!?」」
 そんな時、外で叫び声と共にドォンッと大きな音がした。地響きしたようでそれが身体にも伝わってくる。
「な、何が起きたんだ…?」
「………」
 私は首を傾げた。外の様子が一切わからないが、誰かが現れたことだけは理解出来る。
「――まさか、鬼族とか……?」
「………いや、鬼族…折成なら両親と繋がりがあるだろう。わざわざこんな――」
『ったく、笹野結望は何処にいるってんだ』
 声の主はやはり私を探しているようで、何よりその声には聞き覚えがあった。
『………あ~…、もしかしてここ、か?』
 外にいる彼は蔵の存在に気づいたらしい。こちらに向きを変えたのか、砂利を踏みつけながらどんどんと近づいてくる音が聞こえる。
「……………」
 昂枝は私を後ろへ回し庇う形になると、扉を睨みつけた。
『お~い』と気だるげな声が聞こえてくるが、返事をすれば確実に終わりだ。息を殺し、じっと時が過ぎ去るのを待つことにした。
『………チッ、めんどくせぇ』
 返事がないことに苛立ちを隠せないのか、彼が持っているであろう槍を砂利に挿す音が鳴る。そして少しの間を置くと、古びて錆びついた閂を持ち、ギィッとずらす音が響いた。ガチャンとそれを抜き切ると、扉は豪快に開かれる。
 そして彼はつまらなさそうに私達を見ながら呟いた。
「……見つけた」
 ―――と。