「おい、椿月」



士綺くんたち男子軍と待ち合わせした橋の上。

やっぱり……というか、当たり前に魔王様に豹変した士綺くんと目が合った。



「その格好はなんだ」

「そ、その格好とは……あはは」



憐夜くんたちはポカンとしていて、どうも止めてくれる様子じゃない。



「こ、これしか水着がなかったの! 入ってたのがこれだったの」

「はぁ? 今すぐ帰んぞ」

「なんでー! 私楽しみにしてたんだもん! 絶対帰らない!」



そう口論していたら、結蘭ちゃんが止めに入ってくれた。



「獅子堂そこまでや! 椿月悪くないんわかるやろ? 仕方ないちゅーもんや。諦めぇ」

「だとしてもラッシュガードは? 一応買ってたはずだろ」

「ご、ごめん……着る予定のやつにラッシュガードは入れてなくて……。士綺くん、ごめん」



なんだか士綺くんが怖くて、後ろに数歩下がった。

すると、憐夜くんがニパッと笑って……。



「つーちゃん可愛い! さすがお姫様! それに、実ってるものもあるし〜?」

「っ!? どこ見てるの憐夜くん!!」



結蘭ちゃんの後ろに隠れて体を隠す。

すると、おぞましい声が聞こえてきた。



「憐夜てめぇぶち殺すぞ」



なんと怖い声。震えてこっちは声も出ない。



「わーお。さすが残念男。ま、僕に取られないように頑張ってねー?」

「チッ」

「え? え?」



何を話しているかわからないくて、反応に困っていたとき、結蘭ちゃんが手を掴んできた。



「なぁなあ椿月! あのウォータースライダーやらへん!? 絶対楽しいやん! はよはよ!」



結蘭ちゃんが指をさす場所には、大きなウォータースライダーがあった。

しかも、一番大きいの。



「ゆ、結蘭さん? あれ、一番大きくて長いやつじゃ……」

「何言うてんの! これするために来たようなもんやろ! はよ!」

「まっ、待って!」



そして、結蘭ちゃんに手を掴まれてウォータースライダーに走って行った。