泣いても戻ってこないって、謝罪なんて伝わらないってわかってるのに。


───雪は、全てを覆い隠す。


そこに生きた証も、軌跡も全部潰すように、跡形もなく消えていく。


その事実に、前を向けないでいた。



『憐夜』



そう、士綺クンは吹雪の中、僕の頭を撫でてくれた。


同い年のくせになぜか大人びいていて。


強くて、憧れでもあった。


だから僕は、この人に生涯を捧げると誓った。



『うっ、く……うあ゛あ゛ぁぁ゙!!』



憎しみと悔しさの涙が、“親友がいなくなった”という涙に変わった。


僕はこの人に、ついて行くと決めた。


それが、僕の生きる価値だと思ったから。


でも……。


毎日、暗い夜に思うんだ。


僕って、生まれてきても、よかったのかな?