『うっ、ぐっ、あ゛……!!』



気づけば、誰一人として立っていなかった。


殺してなどいない。殺す寸前だった奴もいるだろうが、ちゃんと心臓は動いている。


僕は全員を殴り倒したあと、痛みに悶えながら祐介に駆け寄った。


一人、呆然とした。


苦しくて、殴られたところとかそういうところは痛くないのに、胸が痛い。



『なんで、だよ……祐介……』



どれほどの時間、一緒にいただろう。


一緒に遊んで、バイク乗って、夏はアイスとか、冬は肉まんとか食って。


あの眩しい笑顔は、“俺”を照らしてくれた唯一の光だったのに。


全てが、敵に見えた。


この倉庫も、総長も、ヤクザ共も。


もういい、トドメを刺したら……僕も、祐介の後を追いかけて……。


そう考え、血の垂れる体で動いた瞬間だった。



───ギィ……ドンッッ!!



『は……?』



突然、何重にも鍵か掛けられた扉が開いた。


差し込んできた、夜の光。


目を向けると、男が一人立っていた。